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電子政府ポータルe-Govがユーザーにとって残念な理由

「電子政府」と聞いてみなさんは何をイメージしますか?

私はマイナンバーカードで役所の手続きが家からできるようになったり、
政府のデータや情報をインターネット上で自由に使えるようになったり、
税金や行政手続きを簡単にできるようになる国家をイメージします。

みなさんもだいたい同じようなところではないでしょうか?

総務省によると電子政府というのは以下のように定義されています。

 

電子政府は、行政分野へのICTの活用とこれに併せた業務等の見直しにより、
行政の合理化、効率化及び透明性の向上や国民の利便性の向上を図ることを目的としています。

 

なるほど。ICT(Information Communication Technology)の活用と業務見直しで、
行政合理化、効率化、透明性向上、利便性向上を図るということですね。

2013年に発表された「世界最先端IT国家創造宣言工程表」では、
目的として2020年までに以下の社会の実現を目指しています。

 

  1. 革新的な新産業・新サービスの創出と全産業の成長を促進する社会の実現、
  2. 国民が健康で安心して快適に生活できる、世界一安全で災害に強い社会の実現、
  3. 公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられることができる社会の実現、

 

この中でも1番は経済政策的な話になりますし、2番は防災政策、
電子政府というと国民に直接触れる接点で言えばやはり、
3番、具体的にはマイナンバーカードやオンライン手続きの簡素化ではないでしょうか?

この電子政府のポータル的役割を担っているサイトが「e-Gov」です。
弊社でも各種行政手続きの際に積極的に電子申請にトライしているため、
かなりの高頻度で活用させてもらっています。

 

e-Govの設定方法等についてはこちらの記事を御覧ください!
http://cocolofun.com/2020/05/22/e-gov/

 

しかし!、今の段階では残念なところがたくさんあります。
今回はなぜイーガブが残念なのかユーザー視点でご紹介したいと思います。

 

 

国民が一番使うであろうe-Gov電子申請がわかりにくい

「e-Govというサイトがあるらしいので電子申請にチャレンジしてみたい!」

 

そう思い立った人がいたとして開いたページが上の画像です。
例えばみなさん必ず加入している「健康保険国民年金被保険者資格取得届」を提出したいとき、
どこを開けば良いでしょうか?

 

よく見てみると、左側に「申請・届出」という項目があり、
その中に「e-Gov電子申請」という箇所がありますね。
ここから各種オンライン手続きを始めることができます。

私達の日常生活でもっとも接点が大きく、影響が大きいのは間違いなく各種義務手続きです。
国民年金、厚生年金、健康保険、産休、失業手当・・・
こうした業務は嫌でも会社や個人がやらなければ法令違反になるわけです。

これらの手続きは労務とか総務と呼ばれる仕事をする人がこれまで紙で、
手書きで郵便によって提出することで行ってきました。
ですから、電子化されることのメリットは大きいです。

 

しかし、早速どうして良いのかわかりくいランディングページ(LP)です。

ポータル化されていることはとても良いことですが、
その中でもユーザーが使う頻度が高いであろう手続きを強調することはユーザビリティを高めますし、
そうした、多くの人が必要に迫られて利用するサービスは、
かならず情報リテラシーがあまり高くない人がいますからこの層に向けた動線作成が必要です。

 

 

電子申請のページを開いてもどうしていいかわかりにくい

 

 

「さて、電子申請のページも開けたぞ!」

 

そう思ったユーザーが次に目にするのは上記の画面です。
まず、左側に「パーソナライズ」という項目、そして「運転状況」という項目があります。

先ほどと同じように誰もが一度は提出している、
「健康保険国民年金被保険者資格取得届」を提出したいときどうしますか?

 

実はここで見える画面では届出を出すためのボタンは表示されていないのです。

下の方にスクロールするとようやく申請のボタンが現れますが、
ちょっとどこを押して良いのかわかりにくくありませんか?

ちなみに最もよく使う、通常の申請では左上を使います。
というよりほぼすべての申請では左上の[申請(申請者・代理人)]を使います!

 

 

提出目的や頻度別に申請書を検索できない

次に[申請(申請者・代理人)]をクリックすると検索画面が出てきます。

例えば、「健康保険国民年金被保険者資格取得届」を提出したい時どうするかというと、
この届出の名前を知っていればそのとおりコピペして検索すればよいのですが、
もし正しい届出の名前を知らなければ検索ワードで調べますよね。

「年金」というワードで調べてみたとしましょう。

すると394件も年金関係の申請書があることがわかります。
一番上に表示されたのは、昨今のコロナの影響による業績悪化等のため、
社会保険料を納付できない場合の納付の猶予申請書でした。

しかし、今回はあくまで新しい社員が入社するときに必ず提出する、
「健康保険国民年金被保険者資格取得届」を探したいのでちょっと違います。

ちなみに1ページ目には出てきませんでした。

このように現実的に人事労務担当者が「入社した社員の社保手続きをする」という、
シンプルな目標を達成するために電子申請を使おうと思った時、
すこしITに慣れた人であれば試行錯誤しながらうまく申請までできそうですが、
そうでない人であれば最初から諦めてしまいます。

こうした場合はWebのユーザビリティ的には提出目的別にページを用意するとか、
利用頻度の高い順に表示させるというちょっとした工夫が必要です。

ちなみに、少数名の手続きを行うだけであればこちらの届出書を使います。

 

 

電子申請の入力で半角全角等の指定が細かい

 

「さて、ようやく電子申請ができそうだ!」

 

そう思ってすぐに書類作成に飛びつく前に、記載されている注意事項が重要です。
半角全角やスペースなど記載要領があり、それ通りに記入しないと、
一度提出した数日後に「不備がありました」という連絡がきて手続きが遅れるのです。

例えば住所や氏名は必ず全角、氏名の間には必ずスペースを入力、
生年月日は半角数字を利用する・・・等です。

書類によって指定される書き方が異なりますので注意が必要です。

 

これらの記載要領はページの一番下に「書面による手続きに関する情報」
として記載されています(正確にはPDFへのリンクがあります)

ページの上の方に電子申請の[申請する]ボタンが表示されているので、
利用者はすぐにボタンを押して実際に入力を開始してしまうでしょう。

しかし、入力のフォーマットが誤っていた場合何度も修正を繰り返すことになります。
実際に入力画面で半角数字を間違えても申請自体はできてしまうことがあります。
システム上で受け付けられても実際は人が見て却下されますので、
必ず記載要領通りに入力することが必要なのです。

 

 

e-GovアプリとWebページの関係がわかりにくい

e-Govアプリケーションはインストールが必要なソフトウェアです。
しかし、書類を検索するところはWebページで構成されています。

実は、書類作成時にアプリケーションを起動というボタンをクリックすると、
準備でインストールしたアプリケーションが開かれます。

この辺りの仕組みがすこし複雑なため、あまり良くわからない人は間違えて、
戻るボタンを押してしまったり、変なポップアップが出てきたと勘違いして消したりします。

e-Gov側も手順書を公開しており、動かし方は上の画像のように説明していますが、
丁寧にこうしたドキュメントを読み込みながら動かすということを、
ITにさほど詳しくない人に要求することは難しいと思います。

 

申請書入力における[入力チェック]ボタンが完璧ではない

入力書は上のようにフォーマットに従って紙の申請書と同じ用に入力するだけです。
しかし、前述のように半角数字やスペースに気をつけましょう。

ここで最後に「入力チェック」ボタンが有るのですが、
こちらはかなり簡易的なチェック機能なのであまり意味がありません。

例えば、申請書に記載すべき事項が抜けていても指摘されなかったり、
氏名のスペース等はこのチェック機能では判断されていません。

結局、先程ご紹介した記載要領を一度ダウンロードした上で、
ドキュメントを読みながら入力するのが最も正確に書類を作成できます。
こちらのチェック機能に頼っても書類が受理されないことが多いので気をつけましょう!

 

他にも思いつく限りでたくさんUX的によろしくない点があります。
今回は長くなりすぎるので次回パート2として取り上げたいと思います。

 

まとめ

まだまだ世の中は紙やはんこで溢れていますが、
コンピュータが提出された内容をチェックできるようになれば、
手続きによってはすべてAIが判断して可否を決めたり、
かなりの業務が自動化されていくはずです。

 

「公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられることができる社会の実現」

 

2020年において上の目標は達成しつつあるかもしれません。
しかし、実際に「使えるサービス」なのかというとそうではありません。

まずは電子政府としてどういう手続が最もよく使われるのかイメージする必要があります。
その上で本当にユーザーが困っている課題をしっかり見極めないと、
完璧だけれども使えないシステムが出来上がります。

かならず使われるシステム、サービスとはどういうものなのか、
単にシステムを作ることが電子政府の目的となっていないか私達国民も、
ちゃんと指摘してより使いやすく、より便利なサービス開発に協力したいと考えています。