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【未来の総務】ベンチャーが目指すべきバックオフィス

ベンチャーやスタートアップ企業において最も重要なのは基軸となるビジネスです。

しかし、法人化するにあたって様々な事務処理が必要であり、
しかもその全てが高度に専門化されているために一般的にベンチャー企業では、
専門的な業務を外部の士業の方々に投げているというケースが見られます。

今回は外部に業務を依頼せずに、低コストでコーポレート業務を内製化する選択をした、
弊社がいい感じのバックオフィスシステムを作ったその動機と、
体制を作るコツについてご紹介します。

 

コーポレート業務を内製化するという逆転の発想

 

近年は一般的に総務や経理などのコーポレート業務の効率化が進められています。

具体的にはコーポレート部門を子会社化して外部に切り出したり、
アウトソース会社を利用することで事務処理コストを削減しています。
また、RPAなどの利用により社内で自動化を進める企業も多く見られます。

このようにこれまで当たり前のように行っていた事務処理など、
コーポレート業務は近年は削減の対象とされつつあります。

こうしたコーポレート業務はビジネスの視点から言えばコストとみなされがちですが、
業務の内容によっては経営の意思決定に必要であったり、
顧客満足度をさらに高めるために必要であったりするものもあります。

弊社ではこうした視点から、不必要な事務処理は最小化し、
それでいながらも必要な情報を即座に把握できる体制を構築すべく、
会社設立当初から一人ですべてのバックオフィス業務を担当できる体制を作ろうと思いました。

結果的に顧問契約等はせず、経理や総務の専属従業員もアウトソースもせずに、
一人で数十人の会社のバックオフィスを固めていくことができました。

 

専門家と契約しても面倒が解決するわけではない

 

起業家としては事業創造以外の仕事はすべきではないかもしれません。
しかし、従業員にとって見れば会社がきちんと機能しているのが当たり前でしょう。

自分一人なら初めての手続きも楽しめますし、苦痛でもありませんが、
従業員が増えていくと同じことをすべての人にするわけですから、
これらを従業員が入社・退社・休業ごとに一人でやるのはものすごく大変です。

それにベンチャー企業だからなんでも許されるわけではなく、
労働基準法に思いっきり反していたら、次第に従業員は疲れて不満が溜まっていくでしょうし、
やっぱり、従業員としては安心して働きたいものです。

こうしたコーポレートの体制を整えるとき一番先に思い浮かぶのは、
社労士さん、税理士さん、弁護士さんとの契約でしょう。
しかし、実は彼らが日常の手続きをすべて請け負ってくれるわけではありません。

結局、日常的に従業員から必要な情報を入手するのは会社の人ですし、
経費を仕分けしてもらうには仕分けを依頼する追加契約をしなければならないのです。

それに、年末調整業務も源泉所得徴収票の発行も社労士さんに依頼したからと言って、
すぐに対応して頂けるとは限りませんし、税務申告に関しても、契約書のレビューも同様です。

単に専門的なアドバイスを受けたいのであればそれで良いのですが、
顧問契約だからといって日常の業務を遂行してしてくれるわけでも、
専属で対応してくれるわけではないのです。

 

現時点で最強のバックオフィスシステムはこれ!

 

そこで、考えました。新しい組織だからこそ最初から内製化してしまえばいいのです!
ベンチャー企業らしくすべてを自動化してしまえば良いのだと。

事務手続きは人を介する必要があるから大変なのです。

例えばそれぞれが暇なときに画面に従ってやってくれれば完成するようなものを、
説明しながら判子を押してもらわなくてはならないとなると、
お互いにその時間を抑えておく必要が出てくるのは当たり前の話です。

だからこそ業務のあり方を変えなければなりません。
しかし、実際は新しいベンチャー企業でも内製化していくのは難しいことだと思います。
なぜなら自社に適したコーポレート全体のシステムを考えられる人はほとんどいないからです。

税理士さんは税務、弁護士さんは法務、社労士さんは労務の専門家であり、
企業活動の全体像まで実務的に知っているわけではありません。

顧問契約で忙しいので最新のSaaS業務ソフトウェアを使った経験もほとんどなければ、
実際に自分の手ですべての実務を行い、従業員を増やすなかで、
どういった手続きにどれくらい時間がかかるか、重要度がどのくらいか判断する経験も無いからです。

それに会社によってはすでにシステムを導入していたり、専門人材がいる場合もあります。
こうした諸条件を総合的に俯瞰して導入までサポートするには時間がかかります。
ですから、もしできたとしても無料でコンサルティングすることはできないのです。

そこで、私は少しずつすべての業務を既存のサービスに置き換えていきました。
時間をかければ自分ができるような仕事もお金を払ってサービスにやってもらうようにしました。

現時点において弊社のコーポレートを包括するシステム像はこちらです。

結果的にこれらのサービスを活用することで、
やりたいこと(バックオフィス業務)の95%はできるようになりました。

サービスの中には必ずしもまだ機能的にすべてが整っているものではないものもありますが、
会社に必要な業務を円滑に行えるサービスを選定していることと、
これからの伸びしろに期待ができるサービスを選定しているために、
むしろ、これからどのように便利になるのだろうとワクワクしています。

驚かれるかもしれませんが、これらのサービスを活用すれば、
法務の契約書レビューや税務申告書作成など特に専門的知識が要求される業務についても、
既存のサービスを利用することで一般的なレベルの成果物を提出することができます。

 

自動化と連携がいかにして業務を最小化するか?

 

これらのサービスを上手く連携させることで間違いなく業務を最小化することができます。
おそらく、現状存在する会社の中で最もSaaSを活用させている小さな会社だと思います。

やっていることはごく普通のことです。
しかし、その効果はやらないのと比較してすべての面で何倍も優れているでしょう。
具体的に業務フローがどのように成り立っているかご紹介しましょう。

例えば「請求書を送付する」という作業をするにしても、人手はほぼ不要です。
弊社では請求書は「MFクラウド請求書」上で毎月自動作成され、ワンクリックで郵送ができます。
それだけでも請求書作成や印刷や作成の手間が省けますが、それだけではありません。

MFクラウド請求書で郵送手続きをした請求書は、MFクラウド会計に自動的に仕分けされます。
さらに三菱UFJ銀行のBizStationが提供する入金通知サービスを利用しており、
入金があるとすぐに通知が送られてきます。(弊社ではあえて1日1回の通知にしています)

こうした通知を見てオンラインバンキングから確認することで、通帳記帳なしに、
経理による入金の消込み作業がMFクラウド会計上で行われます。
しかもこれもワンクリックで完了し、すべてWeb上で完結させることができます。

日々の経費精算も従業員のアプリ上で申請を行うことができます。
現金を使わないようにするためにコーポレートカードを支給すれば、
カード会社の明細と連携して自動的にMFクラウド会計上に仕分けがされていきます。
あとは定期的に経理が仕分けを修正と確認を行えば記帳が完了します。

こうした業務を定期的に行うだけで決算書はほとんど完成していきます。
最終的に出来上がった決算書を税務申告ソフトウェアに投げ込むことで、
税務処理についてもほぼ自動化させることができるようになりました。

切手を貼るなどの本当に小さなタスクもすべての作業が自動、半自動で行われ、
これらが積み重なることで膨大な時間が削減できますし、郵送記録もクラウド上に残せます。
結果的に「請求書は送ったか?」などという確認も簡単になりますし、
最終的にほとんどの事務処理は不要となりました。

事務処理や顧問契約、備品等の調達コストの効果だけでも相当なものになります。
結果的に従業員3,4人分の働きをしてくれているのではないかと感じます。

 

現実的な運用には総合的に対応できる専門人材が必要

 

一方でここまで徹底してシステム化をしたことによって、
全く人手を必要としないというわけではないことも明らかになりました。

最新のツールを使う以上はこのようなシステムに慣れ親しんで貰う必要がありますし、
バックオフィス業務である程度日常的に発生するものは自分で判断できる人が必要だからです。

例えば取引先の都合で急な郵送手続きが必要だったりすることは多々ありますし、
必要な従業員の情報を入力してもらえず手続きが遅れることもあります。

各種申請書についても流石に書類はインターネットでPDFファイル等が配布されているものの、
やはり印刷して郵送しなければならないものも残っています。

住民税などは各自治体がそれぞれ違ったフォーマットややり方であったりするため、
eLTaxなどの電子化ソフトを利用していても紙で対応することがあります。

請求金額や納付金額などのミスは稀に発生してしまうでしょうし、
その際は修正仕訳を入れたり、担当者に電話で問い合わせる必要も出てきます。

AIによって契約書レビューに指摘が入ったとしても、
すべての指摘点を顧客に投げ返すことはできません。

これらに対応するには会計や法務の知識をもっている人材である必要がありますし、
最終的な判断は経営者やマネージャーが行わなくてはなりません。

 

長期的には常に最適なものを選び続ける必要

 

これらの現時点ではベストプラクティスと考えているバックオフィスのシステムですが、
当然、いつまでもこのまま一人だけで対応できるわけではありません。

会社の規模が大きくなればなるほど業務は複雑化しますし、
一人ですべての処理を追っていくことも難しくなります。従業員の問い合わせも絶対量が増えていきます。
人間が名前と顔を識別できる最大人数はだいたい120名くらいといいますから、
これ以上の組織になると流石にあらゆるコーポレート業務を一人で担うのは難しいでしょう。

事業部ごとに担当者を設置するなどの必要がありますし、
同じようなスキルをもった従業員を他にも増やしていく必要が出てきます。

今回取り上げているソフトウェアの適用対象からも外れていきます。
例えば資本金が1億円以上の大企業となれば「全力法人税」の対象となる企業を超えますし、
消費税の申告が必要となればまた別の税務ソフトウェアが必要になります。

それでも、現在は様々なSaaSが発表されており、
探せば会社にあったサービスを見つけ出すことは難しくないと思います。

これからの時代、会社の変化に合わせて最適なものを常に考え続けることで、
より全員が楽をすることができるはずです。
そしてそれらの工夫により事業創造のための時間や資金を捻出することができれば、
新しい事業に資金を投じたり、待遇を向上させたりすることができるでしょう。

何より自社で内製していることがコストではなく、強みとなるならば、
そして、従業員の満足度を高めるコアとなれば自社の価値をより高めてくれるに違いありません。